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寺子屋クラブ

WEBマーケティング・心理学・統計学・機械学習

無意識を視覚化する

 コールドリーディング関連の著書で有名な石井裕之の本を読んだので、備忘録がてら面白かった点をまとめておきます。

 

目次

  1. 好悪の感情
  2. P型人間とE型人間
  3. まとめ

 

1. 好悪の感情

 コールドリーディングの特徴として、相手の好悪(快適・不快)の感情をボディーランゲージから読み取ることが挙げられます。この本でも「視点」という切り口からそれが述べられています。

 人は「無意識の内に様々なイメージを空間的に配置する癖」が付くそうです。そこで「楽しいことを回想する時(快適)」と「嫌なことを回想する時(不快)」とで視線がどこに向くかを観察し、その空間(本の中では左右程度の確度で十分だそうです)を意識しながら相手とコミュニケーションすることで、相手が現在快適なのか不快なのかが可視化され、その背景理由を文脈から推測することで相手の気持ちを読み取れるというのが著者の論でした。相手のボディーランゲージを「快適サイン」と「不快サイン」に分類し、その背景を推測する手法は、他のコールドリーディング書籍でも見られるので、後ほどそちらも紹介します。 

terantera.hatenablog.com

 

 

 本書では相手の視線導線を押さえることが重要としているので、観察時に「恋人の話(快適)」や「上司の愚痴(不快)」といった、相手の感情の動きが予測しやすい話題を振ることで、相手がどのようにイメージを空間配置しているかを学習することが肝要だそうです。人は情報の90%を視覚から受け取るという説があるくらい、視覚イメージは脳と密接に関係しあっています。そのため、視覚を利用したボディーランゲージ・リーディングは確度が高そうだなぁという印象を受けました。

 

2. P型人間とE型人間

 P型人間(外交的)とE型人間(内向的)の話も面白かったので、同様に記載しておきます。この分類はジョン・G・キャンパスというセラピストが提唱している分類で、大まかに外交的な人間をP型、内向的な人間をE型としています。文脈としては、外交的な人と内向的な人ではコミュニケーション傾向が大きく異なるので、相手の型に合わせてサインを読み取ることで、コールドリーディングの確度が全然違うという話でした。

 

  特に面白かったのは、P型人間とE型人間では「相手からのメッセージの理解法」と「メッセージの表現方法」が全く異なるという話です。

 P型は「人に言われたことをそのまま受け入れる」傾向があるのに対して、E型は「相手の言葉の裏にある真意を探ろうとする」傾向があります。「今日はまた綺麗ですね」と声をかけられた時に、P型は素直に喜ぶのに対して、E型は”今日は”っていつもは綺麗じゃないってこと?と不快感を感じるのです。外交的・内向的と言うと誤解を呼びそうですが、P型は素直で、E型は気が利くと言ったほうが正確です。ここからが面白いのですが、P型・E型双方ともに、「理解の仕方」と「表現の仕方」があべこべなんです。つまり、P型は「メッセージを暗示した間接的に表現をする」傾向があり、E型は「伝えたいメッセージをそのまま伝える」傾向があるのです。異性をデートに誘う時に、P型は「最近公開されたあの映画すごい評判いいらしいよ」と間接的に誘うのに対し、E型は「最近話題のあの映画観に行かない?」と直接的に誘うのです。この違いは「理解の仕方」が大きく影響しているのだそうです。P型にとって「メッセージはそのまま理解するもの」なので、映画に断られるのはそのまま「自分は嫌われている」という風に受け取ります。人間誰しも人に嫌われるのはストレスがかかるので、その状態を避けようとします。その結果が、「映画の評判がいい」という間接的に誘い文句を選択させるんだそうです。一方でE型にとって「真意はメッセージの裏に隠すもの」なので、仮にデートを断られるとしても、真意は隠した上で相手が返答することを想定します。そのため断られたとしても、それはE型にとってさほどストレスにはならないのです。その結果「映画に行こう」という直接的な誘い文句を選択するのです。

 

 本書ではP型/E型の形成背景についても説明がされています。それは幼少期のコミュニケーションだそうです。例えば、親が「外に出るのは片付けてからにしなさい」と子供に伝えたとします。子供は片付けるのは面倒くさいので、家の中にいることを選択し、親に遊ぼうとせがみます。そこで親が「邪魔だから外に行っていなさい」と、先ほどと矛盾するような発言をするとします。子供にとって親とは絶対的に正しい存在です。その親が上記のような矛盾したコミュニケーションを取ると、子供は相手のメッセージはそのまま解釈してはいけないのだと学習し、その結果E型に寄っていくのです。逆に、親が一貫性のある発言をしていれば、子供は相手のメッセージをそのまま受け取ることに一切の違和感を覚えないので、P型に育つというわけです。

 親の子供に対する影響力は発達心理学の領域でも多く研究されており、特にパーソナリティの形成に大きく影響すると言われています。興味がありましたら、下記投稿も御覧ください。

terantera.hatenablog.com

 

 

 P型/E型に関してもう一つ面白い説が紹介されています。P型/E型によってセックスに対するスタンスが変わるというものです。

 P型女性は感情や身体を全面に出す傾向があり、E型女性は論理や世間体を全面に出す傾向があります。これは幼少期に負ったトラウマが影響しているんだそうです。人は自分にとって都合の悪いものを隠す習性があります。P型は幼少期に精神的な傷を負っていることが多いんだそうです。そのため脆い精神面を隠すために身体を全面に出していくのだそうです。対照的にE型は幼少期に身体的な虐待を受けた人が多いそうです。そのためP型女性は比較的容易に自分の身体を異性に許します。しかし心は許さないのです。対照的にE型女性は心は容易に許しますが、身体は許さないそうです。著者は、相手の型を踏まえた上でコミュニケーションを取らないと、相手がどこまで許しているかを見誤り、関係的破綻を迎えると注意喚起していました。

 私はこの精神/身体的観点からいくと完全にE型なのですが、先ほどの理解/表現の観点からはP型な気がするので、どこまで一貫性があるのかは疑問では有りますが。

 

3. まとめ

 上記が自分が面白いと思った点でしたが、本書には「ダブルバインド」のような誘導的にコミュニケーションに利用できるメソッドがいくつも紹介されていますので、そういったものに興味がある方にもおすすめです。

 

コミュニケーションのための催眠誘導 「何となく」が行動を左右する (知恵の森文庫)

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