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人工知能との共存に必要な創造性ってなんだろう?

こんにちは。
今日は今最もホットなトピックの一つ、人工知能に絡めた投稿をしたいと思います。
 
突然ですが、下記記事を見たことはありますか?
 
 新興国の安価な労働力と人工知能の進歩によって、国内から単純労働は減少・消滅すると言われています。そのため、キャリア開発においてはいかに人工知能等に取って代わられない職能を磨いていくかが重要という論調が強まっています。この人工知能が取って代われない固有の能力として頻繁に挙がるのが、創造性とマネジメントと言われています。
 
 マネジメントは多様な人材を同一の目標に向けて方向づけ、彼らの能力発揮を補助することと私は定義しています。具体的な要素としては、「チーム目標の正しい理解/設定」「関係構築能力」「メンバーの個人的欲求とチーム目標のすり合わせ」等々に分解できるのではないでしょうか。しかし創造性の方が問題です。創造性って一体なんなのでしょうか。漠然と「新しいアイデアを生み出す力」的なイメージを持っているだけで、そのために必要な要件をブレイクダウンできなかったので、調べてみました。
 
 拡散的思考と収束的志向という概念を提唱した心理学者ギルフォードは、創造性は下記6要素より構成されると考えたそうです。
 
  1. 問題に対する感受性:課題発見能力
  2. 思考の流暢性:アイデアを多量に生み出す力
  3. 思考の柔軟性:型や常識に囚われない思考能力
  4. 独創性:ユニークなアイデアを生み出す能力
  5. 綿密性:具体的に精微を詰めてアイデアを完成させる能力
  6. 再定義:ものを異なる目的に利用できる能力
 上記6要素を創造性の因数分解であると仮定して、人工知能で代替できない要素を「キャリア開発として期待されている創造性」として抽出してみたいと思います。
 

1. 問題に対する感受性

 課題発見は「現状」と「なりたい状態」との乖離を発見することだと私は考えています。つまり、現状分析(現状を構成する要素を分解)と目標設定(なりたい状態を構成する要素を分解)のマッチングによって、課題は発見されます。このマッチング作業はある程度機械的に処理できそうですが、状態の分解はそうではなさそうです。「現状」と「なりたい状態」は常に更新されていくので、過去のパターンで網羅し切ることは難しいのではないでしょうか。過去に経験がないユニークな状態の要素分解には、ある程度主観的に、新しい切り口を導入する必要があると考えます。そういった意味で、課題発見能力は「キャリア開発として期待されている創造性」と言えそうです。
 

2. 思考の流暢性

 特定の切り口からたくさんのアイデアをアウトプットできる能力はどうでしょうか。これは「組み合わせの材料をどれだけ持っているか」と言い換えることができるのではないでしょうか。ここで出てくるアイデアは、「特定の切り口という属性」と「組み合わせ材料」の掛け算です。材料を沢山持っていれば、一つの切り口から沢山のアイデアを生み出せます。ここまで考えると、人工知能でも問題なさそうですね。膨大な材料をデータベース上に保有できることを考えると、これは人間がやらずにコンピュータに任せたほうが効果的な気がします。

 

3. 思考の柔軟性

 型にはまらないというと抽象的ですが、過去にマッチングされたパターンで安易に納得してしまうのではなく、新しい回答パターンを追求する態度を指している気がします。一見それらしい回答に対して疑いを持ち、別のパターンを引き出せるような問を立てられるか。そういった意味では懐疑性と言い換えができるかもしれません。示された回答の評価が絡んでくるので、人間の介在が必要そうです。「キャリア開発として期待されている創造性」と言えるでしょう。
 

4. 独創性

 ユニークなアイデアとは、今までに試されていない「切り口」と「材料」のマッチングではないでしょうか。過去に良しとされたことがないマッチング結果を提示する能力は独創性と言えるでしょう。しかしこの文脈では、やっていることは思考の流暢性と変わらないのでコンピュータで代替できます。2. で上述した「切り口」や「材料」を新しく創出できるかも独創性の要件と捉えられそうです。「ビタミンが足りていない」という課題において、「サラダ一体型の食事」という切り口に、「うどん」といった材料を掛けあわせて、「サラダうどんを食べる」というアウトプットが出せますが、この「サラダ一体型の食事」のような切り口(しかも頭の引き出しやデータベース上にない)をどれだけ創出/関連付けできるか、こちらは過去のパターンに頼っていては行えないプロセスなので、人間の介在が必要そうです。
 

5. 綿密性

 これは抽象的なアイデアに肉付けをしていくプロセスです。肉付けの仕方にも、①過去の伝統を踏襲する/②新しい肉付けがあると考えられるので、ここも安易にコンピュータで代替できるとは言えなそうです。ただし、肉付けも「トピックとサブトピック」や「目的と手段」などのマッチングと捉えられるので、ギルフォードの6要素の解釈法で、答えは大きく変わりそうです。
 

6. 再定義

 問題やissueを従来とは異なる角度から検討できる能力です。課題発見に限らず、上記の各段階において、”常識”に囚われず、新しい視点を投下できるかです。こちらも従来通りの視点をデータベースよりパターン化し、そこから外れたパターンを提案する部分はコンピュータに利がありそうです。しかし結局評価をする必要があるので、その段階で人間の介在が必要といえるでしょう。
 

まとめ

  創造性を分解し、各要素がコンピュータによって代替できるかを考察しましたが、「データベースにない材料をアウトプットに要する」「アウトプットが課題要件に対して適正かの評価」が絡むものは現状コンピュータでは代替出来なさそうです。しかし今後、データベースの情報網羅性が増すとすると、前者の能力の希少性は低下しそうです。評価基準に関しては、予め想定されるアウトプットを機械的に条件に当てはまるか検討するのはコンピュータでもできますが、そこに想定外のアウトプットを評価する能力はないので、新しい価値を創出するためには、コンピュータによる自動評価は却って足かせになってしまいそうです。
 
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